睡眠時無呼吸症候群は、SAS(Sleep Apnea Syndrome)とも呼ばれる睡眠中に呼吸の停止を繰り返す病気で、その多くでいびきを伴うことと、自覚症状がほとんどないことが特徴です。
睡眠時無呼吸症候群は、肥満により上気道へ過剰に脂肪が沈着することが原因の一つとされていますが、遺伝的あるいは後天的に上気道が狭くなっていることに起因して肥満でない方の約30%にも発症しており、誰しもが発症し得る病気であると言えます。
睡眠を充分にとっているつもりでも、無呼吸であるために脳や体が休むことができず、昼間の眠気や疲労感が増し、日常生活に影響が出てきます。
睡眠時無呼吸症候群特有の眠気により交通事故を誘発するなどの危険はもちろん、無呼吸による低酸素や睡眠が断続的に途切れることのストレスなどの影響から、高血圧や心筋梗塞、脳卒中といった心血管系疾患を引き起こすとも言われており、注意が必要です。
睡眠時無呼吸症候群の治療にはいくつか種類がありますが、最も一般的な治療法としては、睡眠時にCPAP(シーパップ)という機械を使用するものが挙げられます。
CPAPによる治療は、睡眠中に鼻マスクを装着し、そこから一定圧で空気を送り込むことで、睡眠中に緩んだ喉の筋肉によって喉が塞がってしまうのを防ぐ方法です。睡眠時無呼吸症候群の治療法の中でも最も有効性が高く、安全かつ確実な方法と言われ、健康保険も適用になります。
睡眠時無呼吸症候群は、適切な治療が必要な病気ではありますが、受診前や治療中などに、ご自身でもできる対策があります。
1. ダイエット
舌や喉の周囲にも余分な脂肪があると上気道が狭くなりやすいので、まずはダイエットで余計な脂肪を落とすところから始めましょう。
2. 横向き睡眠
舌が上気道を塞いでしまうのを防ぐためにできる一番簡単な対策は横向きに寝ることです。仮に真横を向くことができなくても、首や体がすこしでも傾けば上気道に空気が通りやすくなります。
3. 鼻呼吸の習慣
口から息を吸い込むと非常に大量の空気が入ってくることになり、狭くなった上気道を通ろうとした時に喉を振動させていびきが発生します。鼻で呼吸するようにすれば症状はだいぶ変わってくるはずです。
4. アルコールをひかえる
睡眠時無呼吸の症状が出る人は、アルコールによって筋肉のゆるみが増長され、舌によって上気道がふさがれやすくなるため、アルコールを飲んで寝た時のほうがより症状が悪化します。